陽子ちゃん 会社でお腹が痛くなるの巻

「陽子ちゃんのうんこ事情」の陽子ちゃんが会社に入ってまだ間もない頃の話。

4月入社の陽子ちゃんが研修を終えフロントで独り立ちしたのは7月に入ってからだったと思う。それまでは研修自体がフロント内で行われていたこともあって、ほぼ毎日顔は合わせていたものの、女性主任が付きっきりで仕事を教えていたので僕たち男性陣は挨拶程度しか接点がなかった。陽子ちゃんが大人しい性格(当時はそう思っていた)だった事もあり完全に僕たちと打ち解けるまでにはまだまだ時間を要すると思われていた。

そんな陽子ちゃんが僕らと同じシフトに入って数週間した多分8月の始め頃。

その日のシフトは50代の男性主任と陽子ちゃんがフロント業務、僕はバックヤードで一日補佐をする役でした。補佐といっても何かトラブルがなければ比較的自由に働いていられる立場のおいしいシフトでしたので、1時間あれば終わるような仕事を3時間以上かけダラダラと時間が経つのを待ちながら、バックヤードにある女性トイレに入る人達の経過時間を計ったり漏れ音に集中したりしていました。

陽子ちゃんがお昼休憩から戻ってきてから1時間ほどしてトイレに立った。フロントの女性は「うんち」の時はバックヤードのトイレを使わずにお客様用トイレに遠征する事が多かったので、僕もこのトイレで漏れ音を聞いたことがあるのは別部署の女性ばかりでした。なので無意識のうちに陽子ちゃんもおしっこなんだろうと特に気にしていませんでした。

残念ながらその日は業者の納品が立て込んでいて、検品に気をとられている間に気が付くと陽子ちゃんはフロントに戻っていた。

続けて検品やサインを続けていると陽子ちゃんがバックヤードにまた入ってきた。たぶんさっきから30分は経ってないはずだ。僕の視線に気付いてちょっと恥ずかしそうに笑いながらトイレに入る陽子ちゃん。

かわいい(*´∀`*)ポワワ

まっ、休憩中にお茶でも飲みすぎたんだろうと思いながらそのまま仕事を続けた。

5分くらい持ち場を離れてからバックヤードに戻ってくるとトイレから出てきた陽子ちゃんとちょうど鉢合わせした。

あれ?ちょっと長いかな?

まさか・・・

ちょっとばつが悪そうな顔の陽子ちゃん。そのままフロントに戻るのかな?と思っていたら「はるさん、わたし昨日携帯変えたんですよ!」と話しかけてきた。陽子ちゃんから話し掛けてくるのはこれが始めてだったので余計印象に残る。このタイミングでどうしたんだろう?「可愛い色だね。」と返すも違和感が拭い去れない僕。

「フロントお願いします!」主任の声が聞こえた。レジが混んできたらしい。陽子ちゃんは急いでフロントに戻っていった。

ほぼ同時にボイラーに繋がる階段の下から「お~い、はる!」とボイラー技師の菊池さんが呼んでいるのが聞こえた。菊池さんは見た目が丹古母鬼馬二そっくりで言動も粗暴なので僕は苦手にしていた。

「おい!はる!呼んだらすぐに来い! あのな、いま事務所から水道が止まったとか言ってきたから裏を見て来たんだけど別になんともねぇんだよ、だからバックヤードの便所の水が流れるかお前が見て来い!」

丹古母鬼馬二が神に見えた。この会話は他の社員も聞いていたので会社公認でバックヤードの女子トイレに入れる!いま、陽子ちゃんが出たばっかりトイレに入れる!

バックヤードのトイレは男女一つずつの和式トイレ。男性用は列車なんかと同じ便器が一段高くなっているタイプで、女性用は床に便器が直接埋め込まれてるタイプになっていた。

まず男性用。水は流れる、残り香なし。

そして女性用。逸る気持ちを抑えてゆっくり扉を開ける・・・

臭い(´・_・`)

個室内に残り香が充満していた。気休め程度に置いてある安物の芳香剤に混じったうんちのニオイがまだホヤホヤの状態で残っていた。いや、正確に言うと下痢うんちのニオイの奥にかすかに芳香剤の香りが申し訳程度に薫っている状態だった。

陽子ちゃん下痢してる・・・

ここのトイレは構造上窓がなく、換気扇も弱くしか効かない。個室内が異常に蒸し暑かったのも余計にニオイを強く感じさせた。硫化系の下痢独特のニオイの他に、酷い下痢の時にする体液っぽいニオイもしてる。あの、お父さんのマクラみたいなニオイ。ニオイだけでいうと、駅のトイレで前に入ったオヤジが下痢をした後に、入れ違いに入った後のニオイとなんら変わる事のないニオイ。

陽子ちゃんも同じなんだ・・・

長居は出来ないので泣く泣く女子トイレを後にする。水は流れた。

地下にいる菊池さんに報告を終えて戻ってくるとトイレの前に陽子ちゃんのサンダルが揃えて置いてあった。さっきから15分くらいしか経ってない。もう100%うんち確定だけど、なんか気の毒になってきた。

出てきた陽子ちゃんに「具合悪かったら帰ってもいいんだよ」と声をかける。あえてこちらからはお腹の話には触れなかった。

「昨日からお母さんがお腹が痛くなる風邪を引いてて・・・」
「あらら、大変だね」

「私もお昼食べてからお腹が痛くなって・・・」
「うん、いいよ。フロントは俺が入るから」

「いいんですかぁ?何回トイレに行ってもダメなんですよ」
「大丈夫?まだ痛いの?」

「トイレに行ってもすぐにまた行きたくなるんです」
「帰りなさいw」

翌日も会社を休んだが、出てきたときに聞くと翌日も一日中下痢だったらしい。この一件のおかげで陽子ちゃんとの距離が少し縮まった。

いま思うと、携帯の話を突然してきたのはうんちをしたのを悟られたくなくて饒舌になってたんですね。なんだか可愛らしい行動です。

直後の配置転換で僕は陽子ちゃんと別部署になってしまいました。そして2年後にまた移動になって陽子ちゃんと一緒に働けるようになるのですが、その後に「陽子ちゃんのうんこ事情」の一件が起こるのでした。

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