女子高生のおなら

斉藤さんが必死になって探していた「トイレその後に」は、その数日後にまた女子トイレに置かれるようになった。でもそれは有志による共同購入であり、常に必ず置かれている訳ではなく、タイミングによっては斉藤さんのように自分の出したくさい臭いを同僚に嗅がれてしまう可能性はその後もまだ残ったままでした。

うちの女子従業員たちは部署ごとにいくつかの派閥に別れており、それぞれの仲があまり宜しくなかったので、一般的にありがちな「女性同士の秘密の共有」みたいな事は殆んどありませんでした。トイレの残り香問題が発生した時も、臭いの原因が自分たちの派閥の娘じゃなければ一切かばう事なしに言いたい放題。

「ねぇねぇ聞いて~!いまトイレにおっきなうんこがあって流れきらないで残ってたさぁ!」
「げぇ~!臭すぎて死にそう。絶対前のひと便秘だよ。」

それぞれ別々の機会にですがこれらは実際に聞いた言葉です。
僕はトイレのあるバックヤードで仕事をする事が多かったので実際の犯人を知っていた訳で・・・、しかしその事は誰にも言わずに(事務の加藤さんは品がありそうなのにうんこは巨大なんだな(´・_・`))とか(うわっ、喫茶の千明ちゃんのうんこって激臭なんだ(ー_ー;))と心の中だけで大興奮していました。

その千明ちゃんは夏休みの期間だけアルバイトに来てた高3の女の子で、「抜群のスタイルに残念な顔立ち」という神様の悪ふざけとしか言いようのない容姿だったけど、性格が明るくて愛嬌があり誰からも好かれる女の子でした。そんなある日。

僕がバックヤードで一人仕事をしていると、「漏れる漏れる~」と千明ちゃんが階段を駆け上がってきた。トイレの前に立っていた僕を「はるちゃん邪魔!」と言いながらどかすと勢いそのままにトイレの中に消えていった。バックヤードには僕一人。僕は当然のように仕事の手を休め、変態の嗜みとして耳を澄ませた。

バタンッ!カチャッ、ゴソゴソゴソ・・・

バックヤードにある女子トイレはタタミ2畳分ほどの広さしかなく外の扉も内の扉も下に数センチの隙間があって、中の様子が意外と外まで聞こえてくる造りになっていた。トイレの真ん前に立つ僕の耳としゃがんでいる千明ちゃんのお尻は同じ空間わずか2メートルの間に存在しているのだ。

ゴソゴソゴソ・・・ぷぅ~ジャ~~~カラカラカラン!

千明ちゃんが水洗のフラッシュレバーを押すタイミングをしくじった。
おならが出た後に慌ててレバーを押しペーパーを巻き取ったが後の祭り。
そのすべてが僕に聞こえていた。

・・・カチャンッ、ジャバジャバジャバ~

おしっこだったらしく、すぐに終わって手を洗ってる音が聞こえてくる。

シュ~~~ッ、・・・シュ~~~ッ、・・・・・・シュ~~~ッ、

「トイレその後に」を大量に噴霧する千明ちゃん。なんだ?なんだ?

留めにもう一回シュ~~~ッとやってから千明ちゃんが出てきた。
「あ~漏れるかと思ったぁ」と照れたように笑いながらまた階下に消えていったが、身体からは「トイレその後に」のニオイがプンプン漂っていた。

大人になってから初めて聞く女子高生のおならに僕は胸がキュンとなった。そうかそうか、漏れそうだったのはおしっこだったのは分かるけどおならが不意に出ちゃったんだね。しかもそれが自分でもビックリするほど臭かったということか。

大量噴霧が功を奏して、出てきたときに身体から漂ってきたニオイは「トイレその後に」そのものだったけど、その必死の臭い消しの行動がちょっと面白かった。そんなに臭かったのかな? やっぱ便秘だったのかな?

その後、女子高生のおならに遭遇するチャンスには恵まれていない。