エステのお姉さんの下痢

「荒川○香なのに」と同じ職場での話。そのカフェではレジのお金を全て社員の僕が一人で管理する事になっていました。ファッションビルのテナントだったので売り上げを毎日僕が全てビルの事務所に持っていく事になっており、つり銭が足りなくなった時や準備金を毎朝用意する時も僕がこの事務所に一人で行っていました。

僕らのテナントは11階建てビルの地下1階にあり事務所は11階にあったので普段は従業員用のエレベーターを使うのですが、このエレベーターがあまりにも遅い事で有名で急いでいる時はいつもイライラさせられていました。ただ、急いでいない時は公然とサボる事ができるので、そんな時は役得とばかりにエレベーターホールでボォ~っとしながらエレベーターが到着するのを待つことが多かった。実際に商品搬入が始まると10分以上エレベーターがやって来ないことも珍しくありませんでした。

ある日の朝、僕はいつもどおり朝一番の事務所の開く時間ちょうどに11階に向かいました。朝一番の事務所には誰も来ないのですぐに準備金を受け取った僕は地下1階のカフェに戻ろうとエレベーターホールに着きました。しかしエレベーターは1階で停まった状態で、エレベーターのドアの奥から微かにガシャン!ガタガタガタ!という音が聞こえてくる。どうやら搬入作業が始まったようです。階段を使って降りることも可能でしたが、僕はまだ開店まで時間があったのでエレベーターを待つ事にしました。

エレベーターを待っているとエレベーターホールに白衣を着たお姉さんがやってきた。11階は事務所の他にエステサロンが入っており、そこのお姉さんたちはいつも看護師の白衣に似た白い制服を着ていました。ビル内の女性たちは所謂「ショップ店員」がほとんどだったので、毛色が違って清楚な雰囲気を醸しだすエステのお姉さんたちを僕はいつも可愛く思って見ていました。

「おはようございます!」

いつものように元気に挨拶をしたものの、お姉さんは視線をこちらにくれる事もなく無視をして僕の前を通り過ぎた。いつもなら笑顔で返してくれるのに。

このビルはエレベーターホールにトイレの入り口があって、エレベーターの隣が女子トイレの入り口になっている。このフロアには女子トイレしかないので男性事務員がよく面倒だと愚痴をこぼしていた。

お姉さんはエレベーターの前にいる僕を無視して女子トイレに入っていった。ここのトイレの入り口は西部劇に出てくる酒場の扉のようなもので、3~40センチの板が両側から取り付けられているだけなので扉の意味を全く成していなかった。上下が大きく空いているので中の様子が筒抜けなのである。

カツカツカツッ、バタンッ!ガチャッ、ガサガサガサ・・・、ギュッ

筒抜けなので体重によって便座の裏と便器がこすれる音まで聞こえた。

一瞬の静寂の後、カラカラカラ~・・・ゴポポポッというペーパーを巻き取る音とトイレの水を流す音が聞こえる。と、同時に「ぶべっ!」という音が僕の耳に入ってきた。

湿っぽく重い音質から、放尿時に不意に出たおならではなくおなら混じりの排便音であることは容易に判断できた。しかもここのトイレは洋式便器内に水面が広がっているタイプの便器なので、洗い流し式のように大きな音はせず、静かに水面が下がっていき、水面が下がりきった所でゴポポポッという音がして終わりの便器なのだ。臭いの拡散は防げるが音消しが出来ない。しかも、一度流すとすぐには流すことが出来ない造りなので、続けてボタンを押しても反応してくれない。かわいそうな事にペーパーを巻き取る音を大きくさせようと必死に頑張っているが、ここのペーパーホルダーは金属製ではなくてプラスティック製なので、乾いた音がするだけで金属製のようなガランガンッガランッ!というような大きな音は出なかった。

再び静寂が訪れる。あれだけのペーパーを巻き取ったが拭いている様子は聞き取れない。まだ排便が終わっていないようだ。

ぴちゃんっ・・・ぴちゃぴちゃっ・・・、排便が再開した。たぶん音がしないよう腹圧を掛けずに少しずつ出すつもりなのだろう、しかし筒抜けなので便が水面に弾ける音がまるわかりだ。

ちゃぽんっ、ぴちゃっ・・・ぴちゃぴちゃっ・・・ぶぅっ!カラカラカラ・・・・・・ゴポポポッ

おなら混じりの軟便を音無しで出す事は出来なかったようで、慌てて水洗ボタンを押してペーパーを巻き取る様子が手に取るようにわかる。

無音は無理と開き直ったのか、それとも腹痛に耐えられなくなったのか、お姉さんは水音が途切れてもそのまま排便を続けた。きっと僕はもういないと思ったんだろう。

ぶべんっ・・・ぶびびびっ・・・、 さっきまでとは音圧が違う。腹圧を掛けた排便音がエレベーターホールにまで響く。同時に、じょぼんっ、ぴちゃぴちゃとお姉さんのうんちが水面に弾ける音も聞こえてくる。音消しはもはや諦めたようで水洗音もペーパーを巻き取る音も聞こえない。こうなったらお姉さんもはやくうんちを終わらせたい一心なのだろう。

エレベーターは、まだ途中の階で搬入作業中。

大きなおならはもう出ないけれど、泡状の液体が出るような、ぶじゅ~という音や、ぐじゅぐじゅぐじゅという音が断続的に聞こえてくる。まだお腹がスッキリしないようだ。途中ギュギュッという便座と便器の擦れる音が数回聞こえた。座り直しを何回もしているようだ。

お姉さんがトイレに入ってからもう7~8分は経つ。最後の音からも1分くらい何も聞こえてこない。

シュィ~~~ジョボジョボジョボ・・・

突然おしっこの音が聞こえてきた。腹痛が治まったのか凄い量が出ている。こんなにおしっこが溜まっていたのに出なかったなんて、お姉さんがかなりの腹痛と戦っていた事が伺えた。

おしっこの音が終わるとガサガサとペーパーで拭く音が聞こえてくる、念入りに何回も何回も。それが終わるとゴソゴソと衣擦れの音が聞こえてきた。

コンッ、ク~・・・ガボボンッ! ガチャッ、カツカツカツッ・・・

水を流してお姉さんが個室から出てきたようだ。今までより大きな音を立てて流れていったのは、便器内の水溜りにお姉さんのうんちと大量のペーパーが溜まった状態で一気に流れていったからだろう。

ジャ~ジャバジャバジャバッ・・・。

手洗いが終わった。お姉さんが出てくるぞ!

カツカツカツッ、西部劇の扉を開けたお姉さんと目が合う。一瞬のうちに全てを悟ったお姉さんの表情が絶望的なものに変わった。とりあえず会釈をする僕。お姉さんは気丈にも会釈を返してくれた。そのままお姉さんはエステサロンに戻っていった。

目の前を通り過ぎた瞬間、お姉さんの髪の匂いと共に明らかな便臭も漂ってきた。決して強くないが、歩いた事によって出来た風の流れに乗って、今までエレベーターホールには無かった下痢っぽいニオイを確かに感じる事ができた。きっと身体にニオイが纏わりついた状態のままトイレから出てしまったのだろう。

エレベーターは、まだ途中の階で搬入作業中。

もうここにいる必要は無くなったので僕は階段で一階まで降りた。

後日談として、次に同じお姉さんと顔を合わせたときは笑顔で挨拶をしてくれました。あの時は挨拶なんかする余裕が無かったのかな。たしかに酷い下痢でしたから仕方がありません。音が筒抜けのトイレなのでおしっこの音は結構聞くチャンスはあったのですが、この場所でうんちの音を聞けたのは後にも先にもこの一回だけでした。

(終わり)